時は流れ

姉と二人で実家へ泊まりに行って来た。
両親はすでに亡くなっているので、今は誰も住んでいない。
時々訪れる弟が家を開けるぐらいで、普段はひっそりとしている。

ひとり暮らしの母が亡くなって、はや5年が過ぎた。
しっくりとした家だったが、人の気配が無くなると傷みも早い。

レンガの隙間をぬって雑草が容赦なく生えているし、
閉め切った室内はムッとしていて、柱には白かびが覆っている。
早く窓を開けてくれとばかりに、熱気が押しよせてくる。

「人が住まなかったら、家もおしまいやなぁ〜」と、横から姉がつぶやく。

父はこの家を苦労して手に入れた。
植え木の剪定は父が、草引きは母と分担し、いつもこまめに掃除していた。
今でも庭のすずらんが密集し、二人でかいがいしく世話をしていた様子が偲ばれる。

さぁ〜窓を開けて、空気を入れ変えよう!
いつもはひっそりとした仏壇も、今日は賑やかになるだろう。

1年に1回だが、姉と二人で泊まりながら思い出を語る。
時は流れ、全てが遠い昔のように思えてくる。

こんな時代もあったんだ・・・
姉と語るのは両親の思い出と、今の私たちのこと。

お布団で横になって話し合えるのも、お互い年齢を重ねてきたからだろう〜
姉妹で過ごした、良き2日間だった。

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