読み手を引きつけた文章

2月になって定期購読している新聞を変えた。
暫く慣れるまで読みづらかったが、お気に入りの頁ができ楽しみに目を通す毎日である。

昨日は「私の手抜き料理術」というコラムを見つけた。
初めは題に魅かれ読み始めたのが、次第に文章の素晴らしさに引き込まれていった。

文章の中で「手抜き料理術」とは何でもすぐ冷凍しておいて、時間をかけずに調理すること。
つまり、新鮮な物を新鮮なうちに冷凍保存して頂くというような事が書かれていた。 そこまでは、よく聞く話である。
コラムはエピソードを書き加え、読み手に「なるほど」と思わせる内容だった。

記事を読んでいると、著者が手抜き料理を知ったのは、旅館の大女将さんから教えて貰ったことに始まる。

今から40年前、彼女と母が旅館に行くと、友人である女将さんが煮物の鉢を持って来てくれた。
庭の前でとれるなりものを、猿がとりに来て困るので思いついた時に煮物を作って楽しんでいるのだと言う。
その煮物があまりにも美味しかったので、さぞ手をかけているのだろうと思った。

「旅館の献立の中で気に入ったのを召し上がればいいのに」と言うと、
大女将は、「いえ、なんにも手なんかかけておりません。粉の出汁をちょっと味付けしただけで、縁側の野菜を料理しただけですから。」と答えたのである。
つまり、野菜が採れたてなら、新鮮といううまみが確実に加わるというのだ。 それ以来、「手間をかけず、素材に従う」自由な料理を楽しんでいるのだと言う。

抜粋して紹介している私の文章は下手だが、新聞の文章は構成が素晴らしく凄くわかりやすい内容だった。

最後まで読んで、一体誰が書いているのだろうと感心しながら著者名を見た。

すると・・・なんと! 記事に夢中で見落としていたが曽野綾子さんだった。
どうりで文章が上手いはずだ。
感心して読んでいた自分が可笑しかった。

上手い文章を読んだら、私はその才能に憧れる。
どうしてこんな文章が書けるのだろうかと思ってしまう。
さすがプロの作家さん。 本当に素晴らしい。

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