36年ぶりの再会

懐かしい友の声が、受話器の向こうから聞こえて来た。
「私の事、覚えてる・・・○○だけど。」
すぐに、名前と顔が浮かんだ。
「もちろん、覚えてるよ。」

彼女とは中学・高校が同じで、休み時間になると自然と数人が集まり、
他愛ない話をしていた。 彼女はその中の一人だったが、高校卒業後は別々の大学に進学し、音信が途絶えていた。 私は同窓会に一度も出席した事がなかったので、36年間の空白の時間である。
名簿で名前を見つけ、懐かしさに電話をかけて来てくれたのだ。
暫く近況を話した後で、仲良しだった二人にも声をかけ、4人で食事をしようという事になった。

「やぁ〜久しぶり。 変わってないなぁ〜」 これが36年ぶりに会った第一声である。

卒業後の足取りから話が始まる。
結婚はお見合い?恋愛? 長男・次男?・・・興味あるのがこんな話から。
仕事はしてるの?・・・噂では聞いていたけど、お互いに確かめ合う感じ。
同級生の友達は、今どうしているの・・・次々に情報交換し合う。
友達の名前が出てくるが、覚えている人・顔が浮かんでこない人、様々である。

私が一番驚いたのは、小柄で愛くるしかったH子ちゃん。
彼女は仕事をしながら農業や家事をこなしてと、たくましいお母さんになっていた。
お正月は大鍋でおでんを炊き、おせちにオードブルを3皿作るらしい。
5人の孫のお婆ちゃまとは、想像もしてなかった。

今の生活に話がはずんだ。
4人とも田舎に嫁いでいて、農業の話から同居の話まで共通の話題に尽きなかった。
苦労もあったろうけど、話をしながら表情はサバサバしていた。
人生長くなってくると、少々の事には動じない強さが備わってくるのだろうか? 36年間の隔たりもなく、私たちは○○ちゃんと呼び合っていた。

電話をしてきてくれた彼女は、今パソコンを習っているらしい。
私がパソコンをしている事を知ると、彼女も「パソコンって楽しいわぁ〜」と言ってくれた。 シニアナビ以外の友人で、パソコンが楽しいと言う人に出会ったのも初めてだった。




今度は、秋に会う事を約束して帰って来た。
36年ぶりの再会は、昔と変わらぬ時間を持つ事ができた。

みんな、あの時のまんまだよ。
地味で目だたなかった私の事を、覚えていてくれて有難う。

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