美しい言葉

美しい言葉は、耳にすると心地良い。
それは、丁寧な言葉と言うよりも、柔らかい響きで耳に入ってくる
からだろうか?

古民家を改造、懐石料理で繁盛している店がある。
中には、こじんまりとした中庭があり、よく手入れが行き届いている。
トイレに行こうと場所を探していると、「厠」と案内がかかっている。
昔はトイレの事を「厠」や「雪隠」などと言ったからだろうか。
ちょっとした和風の飾りと「厠」の文字がやけに合っていて、店主の粋な
計らいが感じられた。

「花明かり」という言葉も私は好きだ。
満開の花の周りは、夜でもほのかに明るく感じられる。
何か人をひきつけるオーラのような物が、漂っているからだろうか。
真っ暗な闇の中でも、そこだけ明るく感じられ、人を魅了するという。
「花明かり」と聞くと、いつもいい言葉だなぁと思う。




京都へ行くと、お店の方が「ようお越しやす」と言って客を迎えてくれる。
柔らかな響きが、温かいもてなしの言葉に感じられる。
私は関西に住んでいるので、「おおきに」や「なんぎやなぁ」は使う。
「有難う」や「困ったなぁ」と同じ意味だけど、言われた感触はちょっと違うかなぁ。

美しい響きを耳にすると、やっぱりいい。
柔らかな言葉を聞くと、何故かホッとしてしまう。
そんなシニア世代に、私もいつの間にかなってきたのだなぁと思う。

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