奈良県 明日香村にある川原寺跡
川原寺は、7世紀頃に創建されたと言われているが、定かではない。
当時、中金堂や五重塔・西金堂・中門・廻廊・僧房などがあり、
最盛期には300人近い僧が住んでいた。
修行をつむ立派な仏教の寺であったが、室町時代に雷火で焼失。
その後再興されていないため、本堂と建物跡の礎石が残されているだけである。
ここで、11月3日〜5日に「バーチャル飛鳥京」が行われた。
「バーチャル飛鳥京」とは、ひとことで言うと、
コンピューターグラフィックスで描いた宮殿の絵を、現実の風景に合成。
そして、古い都を3Dでよみがえらせるというプロジェクトである。
風景に絵を合成するのなら、サークルでしている写真加工と原理は一緒
なのかなぁと、ふと思った。
私は毎年、このバーチャル体験をしに行っている。
まず、頭にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)と言うゴーグルのような物をつける。
前にはパソコンが置かれ、そのゴーグルと線で繋がっている。
係の人がパソコンのキーをたたくと・・・
突然目の前に、中金堂や五重の塔・西金堂・中門・廻廊・僧房が現れた。
こんな感じ〜
ゴーグルを通して見る風景なので撮影できず、画像は借りもの。
顔を左に動かすと、それにつれて左の風景に移動する。
「右に動かしてください〜」で右を見ると、五重塔が現れてくる。
不思議な事に風景と合成の絵だけが現れ、周りの人は映らない。
中門を進んでいくと、本当に自分が歩いて進んでいるようでリアルだ。
視線の通りに映像が、写し出されていく。
しばらく見ていると、お坊さんが一列に歩いて来た。
うわぁ〜凄い!
毎年見ているが、だんだん3Dの建物が自然で見やすくなってきている。
以前は風景だけが見えていたのに、今は人の動きまでも再現されている。
それに、ゴーグルも小型化され、まるでメガネという感覚だ。
時間もゆったりと、十分バーチャルな風景が楽しめる。
いやぁ〜面白い!
バーチャルな研究は、医療・都市計画の分野で応用が期待されている。
以前は高松塚古墳をバーチャルで説明。
中に入らなくても(入ってはいけない時は特に)古墳の外から絵を映し出し、壁画に描かれていた状態を再現・専門的な説明もできる。
今は川原寺跡として、建物はほとんど残っていないが、こんな立派な寺があった事に感動を覚える。
このバーチャル飛鳥京プロジェクトは、東京大学情報学環池内研究室が行っている。
毎年参加していると、機械の小型化・画像のリアルさなどの進歩が分かり、それもまた楽しいものである。