啓発犬

私が虐待と同じくらい辛いと感じるのは、捨て犬である。
最近は減ってきたように思うが、やせ細った体で飼い主を探す犬を見た時ほど辛い事はない。
可愛そうに・・・捨てられた事さえ分からずに、その場で待っている犬もいる。

私が知っている啓発犬は、「捨て犬や捨て猫が減るように」と保健所の人と学校へ出向いて「動物ふれあい教室」をする犬である。
主に小学校低学年か幼稚園・保育所
捨て犬を訓練し、命の大切さをアピールしている。

もちろん子どもたち相手だから、アレルギーや犬嫌いの子どもに配慮し、無理強いはしない。
啓発する前日は体を奇麗に洗い、衛生面にも気をつけている。

8年ほど前に、私が経験した動物ふれあい教室では、保健所の方が犬やうさぎを連れて来て、心臓に聴診器をあて音を聴かせてくれた。
部屋中に響き渡る心臓の音。
ぬいぐるみからは音がしないが、小さなうさぎからは、「ドクドク」と規則正しい音がする。
犬も同じように聴こえてくる。ただうさぎとは速さが違うだけだ。
こうやって、どんな小さな生き物も命がある事を分からせてくれた。

散歩のマナーとしては、子どもが啓発犬を連れて室内を散歩し、紙で作った糞の始末をする体験をする。
でも一番の目的は、親子で考える「捨て犬を無くすには、どうすれば良いか。」である。

啓発犬のチョビンは雑種で、子どもの頃に捨てられた犬だ。
保健所で保護したが、引き取り手が無く啓発犬になった。
人を見て絶対吠えない・かぶらない・おとなしく出番を待つ訓練を受けてきた。 実際大勢の子どもたちの前に出ても、興奮せずにじっとしていた。

捨て犬を無くす為にはどうすれば良いかは、事前に親子で考えプリントに書いて貰う。
連絡先を書いた首輪をつける・避妊手術・最後まで責任を持って世話する・・・
迷い犬が保護され処分される事も、結構多いようである。
一旦飼えば、家族の一員。 無駄な命はひとつも無い!



チョビンが来てくれる予定だった2、3日前、突然保健所の方が来られた。
3日ほど前から餌が食べられなくなり、チョビンが亡くなったのだと言う。
7歳の命だった。
啓発犬なりにストレスがあったのだろうかと、同僚と話していたのを覚えている。

ペットも家族の一員。 最後まで責任を持って飼って欲しい。
どうか、迷い犬や捨て犬が無くなりますように・・・

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