さわやかなでき事

梅雨間近のどんよりとした天気。
その日は蒸し暑く、歩いていると額から汗が流れてきた。

散策しながら、私は万葉文化館まで来ていた。
開園の案内が流れてきたから、多分10時前なんだろう。
珍しく裏庭から入ると、そこに一人の男性がいた。
彼は数枚ある案内板を、黙々と拭き掃除していた。

顔を上げた瞬間、何となく目があった。開園前なので周りには誰もいない。
声をかけようかと思っていたら、向こうから声をかけてきてくれた。
「今日は雨が降りますかね?」
「降りそうですねぇ〜天気予報は雨って言ってたから。 シルバーさんです
 か?」
「いいえ、委託されて働いています。」

シルバーさんにしては若いと思った。もしかしたら40代だろうか?
「ここは広いから大変ですね?」
「そうですねぇ〜でも楽しいですよ。 夜もぐっすり眠れるし・・・」
制服を着た彼は、笑顔で答えてくれた。

ここは庭が広いので、何人かのシルバーさんや制服姿の人が働いている。 奇麗に整備されているとは思っていたが、案内板を拭いている事は初めて知った。
外掃除は暑くて大変だろうに、「楽しいですよ。夜もぐっすり眠れるし」のひとことが心に残った。
時間にして3分ほどの会話。

.entry-content { font-size:18px; }