変身願望

女性は皆、変身願望があるのだろうか?
「還暦祝いに変身写真」がはやっているのだから、多分そうだろう。

でも、私の変身願望は少し違っていた。
それは仕事を辞めた時、職業のイメージを払拭する事だった。
固い職業についていた私は、見るといかにもそれふうだった。

初めにした事が、インターネットで変身を調べる事だった。
見ていると、たくさんある中で興味を引くページが見つかった。
それは、プロの方が化粧を教える講座だが、ただ美しくなるのではない。
病気で落ち込んでいた高齢者の方が、化粧を施す事により、人生が明るくなったという内容が書かれていた。
興味を持った私は、早速その講座を申し込んだ。

6回講座で、先生は元スチュワーデス。
ピカピカの美人ではなかったが、自然な化粧法が雰囲気を引き立たせていた。
話は上沼恵美子ばりの面白さ。話の間中、笑いが絶えなかった。

初めは、紙になりたいイメージを書く。
憧れの女優さんでもよいが、具体的に「可愛い」「クールに」など、言葉で書いても良かった。
そのイメージに最終なるのだと言う。

先生が、「これから目を上げていきますね〜」と言い、ある生徒さんの目にラインを入れる。
ホント、一瞬にして目が大きく上がっている。
目が点とは、この事だ!
私には、全てが新鮮で驚きでもあった。
化粧は、顔をキャンパスと考え、絵を描くように。
影やラインを使い、シャープにもふっくらにも見せるのだと言う。

6回講座は、値打ちある講座だった。
皆が、なりたいイメージに近づいたかどうかは分からないが、卒業回には表情が生き生きとしていた。
皆、自然な化粧法(いかにも化粧しましたではない)で美人になっていた。
有意義な講座であった事が、一目瞭然だった。




変身とは、外見(姿・服)を変えるのはもちろんである。
だが私は、外見を変える事により、心の持ちようが変わる事だと思った。
気持ちが明るくなると表情に表れ、それが魅力ある顔を引き出すのだと。

変身願望・・・それは女性の憧れである。
その後、私には働いていた職業の面影はない。
そうだとしたら、変身効果が少しはあったのかも知れない。


 

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