親子愛

午前6時、「門が開いていた〜」と言う声に起こされ階下へ行くと、
夜間放し飼いにしている犬が、開いてた門から逃げたのだと言う。

うちでは母犬のチャッピー(16才)と、息子のメイ(14才)の親子を飼っている。
庭で飼っているので昼間は繋いでいるが、夜になると高齢なので庭に放してやる。
周囲は塀で囲まれているので、門を開けない限り外へは出られない。

ところがその日に限り、きちんと閉まってなかったのだろう?
庭に行くと、母犬が心配そうにこちらを見ている。
不安になって、「メイ!」と呼んでみたが居る気配がない。

さぁ〜て、困った。
メイは若い頃、隙あれば脱走しようとしていたが、さすがに高齢になってからはじっと寝ている事が多かった。それがまさか逃げるとは・・・

大体行きそうな所は、分かっている。
犬は同じような行動パターンを好む。

急いで服を着替え、冷蔵庫からウィンナーを取り出し袋に入れた。
もし見つけたらウィンナーを投げ、食べに来た所を捕まえるためである。
犬の行きそうな所を回ろうと庭へ出ると、心配そうに母犬が門の外を見ていた。

メイが逃げ出した事を察したのだろう?

突然「ワンワン!ワンワン!」と今まで聞いた事がない鳴き方をした。

すると姿が見えなかったのに、遠くからメイが駆けて来た。
母親の心配そうな声が耳に届いたのだろうか?

ダッシュで駆けて来たので、ウィンナーでおびき寄せ首輪をつかんだ。
案の定、庭に入ると母犬が叱るようにまとわりついて来た。

2匹の犬は、ふだんから親子だからと言って仲がいい訳ではない。
うちは雑種だからか狼と行動パターンが似ていて、単族を好み適当な距離を置いている。それが身の危険を感じたら、聞いた事のない声で息子を呼んでいるのだからやっぱり親子なんだろう。

犬の母性愛を感じた出来事だった。

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